医療現場において、患者さんに適切な治療を提供していくために必要なのが、チームワークです。決まったかたちの看護方式が行われていないと、効率的な看護ケアが困難になってきます。看護方式を決定して運営していくことは、師長や主任ナース、リーダーナースの重要な課題になってきます。この時に最優先される課題というのは、こんな看護をしたい、こんなチーム活動をしたいという看護理念ですので、特に師長の理念とリーダーシップが重要視されることがほとんどです。しかし、看護理念を実践にうつすのは、実際問題として容易なことではありません。まずは、厳しい現状を客観的に分析するところからスタートして、その現状の中でどうしたら望む看護実践が可能かどうかを問題解決志向で検討していくことが大事です。

日本におけるほとんどの臨床看護職の勤務体制は、3交代輪番制の夜勤体制で、2交代制への移行が進んでいるのが現状です。1人の患者に対し、少なくても看護師が3人ケアを行っていることになります。この3人の組み合わせも常に同じではなく、変わることがほとんどです。その場合、例えば、20人の看護職がいる病棟であれば、1人の患者は20人の看護職からバラバラのケアを受ける可能性が出てきます。それは、ケアの工夫や技術の積み重ねなど、よりよい看護を実践していくことが困難になることにもつながりかねません。こうした問題を解決するのが、固定チームナーシングという看護方式です。しかし、その使い手の舵の取り方次第で、便利にも不便にもなる方式でもあります。そのため、メリット・デメリットを考慮し、うまく活用することが大事でしょう。